研究概要 |
本プロジェクトの初年度にあたる本年度は、近世ポーランド・リトアニア共和国における「自由」概念に関連する研究状況の把握と整理、および史料の調査・収集を主たる課題として研究をおこなった。近世ポーランドの政治文化研究の第一人者であり、京都大学文学研究科の客員教授として来日中であったポーランド科学アカデミー歴史学研究所のエドヴァルト・オパリンスキ教授より当該テーマをめぐる研究状況についてレクチャーを受け、「自由」の担い手である近世ポーランド貴族の政治理念にかんす草研究会を2度にわたって開催した(2008年7月5日、京都、ヨーロッパ近世史研究会第14回例会、および7月12日、東京、東欧史研究会特別例会)。また、2008年9月9日から22日にかけて「国際移動セミナー《ヨーロッパ東部境界地域の共有遺産研究》第1回」 (International Cultural Centre in Cracow, PolandとEU Institute in Japanの共催)に参加し、現ポーランド共和国東南部からウクライナ西部に残された近世ポーランド貴族層の歴史的遺産を実地に調査した。あわせて、関連する文献を閲覧するために、ポーランドの図書館で資料調査をおこなった(2008年9月8〜9日、クラクフ、ヤギェウオ図書館、および9月23〜26日、ワルシャワ、国立図書館)。以上の研究の経緯をふまえて、現時点での知見を、「近世ポーランド・リトアニア共和国における「自由」-ヨーロッパ政治思想史のもうひとつの水脈」としてまとめ、発表した(『創文』515号、2008年12月)。
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