2008年9月に予定通りオーストリア・ウィーン市にある国家文書館で第一次世界大戦時兵庫県青野原に設置された捕虜収容所展示会を行った。捕虜が製作した作品や日本およびオーストリアで保存されている関係資料を展示し、神戸大学交響楽団捕虜の演奏会を再現した。展示会はオーストリアの新聞でも報道され、展示会の開会式にはオーストリアの歴更関係者を中心に100名以上の参加を見て、関心の高さが窺がえた。開会式の基調講演では青野原に収用され捕虜を通じて見える日本、ハプスブルク帝国、国際関係について述べ、捕虜研究を関係する国の研究者が共同して行うことの意義を明らかにした。ドイツ語のカタログも作成し、見学者の用に供した。 オーストリアに収容されたロシア、セルビア、イタリアの捕虜兵に関する史料、ロシアで子虜になって後に解放されたオーストリア兵に関する史料、第一次世界大戦の残留捕虜兵にする史料の収集もオーストリア国家文書館で行い、研究の基礎的作業がきく進展した。 2008年10に岡山大学で行われた独文学会の第一次世界大戦時日本に置かれた捕虜収容所に関するシンポジウムで青野原取容所の特性について報告し、日本の捕虜収容所の総合的研究に寄与した。
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