2010年7~8月には、ウィーンのオーストリア国家文書館を訪れ、第一次世界大戦初期の自国民収容に関する史料調査を行った。そのうち特にガリツィア難民を当初収容し、イタリア系難民を収容したシュタイアーマルク州ワグナ市の収容所跡を視察し、聞き取り調査を行った。またシュタイアーマルク州文書館で関連する史料の調査を行った。その間、ハンガリー軍事史博物館を訪ね、シベリア及び日本で第一次世界大戦期捕虜だったハンガリー兵、またハンガリーで捕虜収容所に収容されていた協商諸国兵に関する史料の調査を行った。またチェコ共和国の軍事史文書館も訪問し、第一次世界大戦時、オーストリア・ボヘミア地方に置かれた捕虜収容所、およびシベリアでチェコ軍団管轄化に置かれた捕虜収容所に関する史料調査を行った。 これらの調査研究を成果を踏まえ、2010年12月に京大人文研で行われたシンポジウム「第一次世界大戦研究の焦点をどこに定めるのか」において「非総力戦としての第一次世界大戦-収容所から見た「総力戦」-」と題して報告を行い、パネラーを務めた。この報告に基づき、人文書院より『ユーラシア収容所群島-総力戦から排除された人びとの第一次世界大戦-』を出版し、本科研の成果を社会に発信する予定である。
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