2009年度は本研究の2年目にあたり、二つの会議で論文を発表した。1つは英国アメリカ研究協会主催の学会、もう1つは北欧アメリカ研究協会主催の学会である。ヨーロッパ出張中、主な研究・調査は英国図書館で行い、オスロ国際平和研究所(PRIO)で平和研究者とも面談した。その際、北欧アメリカ研究協会の学会(デンマーク・コペンハーゲン)にて論文発表も行った。学会発表論文タイトルはNeighbors As Enemies : Narratives of Community Violence in Fallout Shelters and During Nuclear War in Early Cold War America(敵としての隣人--初期冷戦時代アメリカで、核戦争想定時、いかに地域社会の隣人が同じ核シェルター内で敵となり、どう追い出し、戦うか、が伝えられたのか)である。 また広島にある放射線影響研究所・原爆傷害調査委員会(ABCC)にて調査を数回行った。年度後半には米国ネバダ州ラスベガスのネバダ核実験場にも赴き、現地のアーカイブで調査を実施した。年度末に論文をまとめ、2010年4月にオンライン雑誌に掲載された。雑誌は、Intersection : Gender and Sexuality in Asia and the Pacific(交差点:アジア太平洋地域のジェンダーとセクシュアリティ)第24号で、論文タイトルは"Reconstructing the Perpetrator's Soul By Reconstructing the Victim's Body : The Portrayal of the "Hiroshima Maidens" by the Mainstream American Media"(「犠牲者の身体治療により加害者の魂を再建する--主流アメリカメディアによる『原爆乙女』の描写」)である。
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