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2009 年度 実績報告書

日本古代施釉陶器生産における畿内と東海の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 20520659
研究機関大阪大学

研究代表者

高橋 照彦  大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)

キーワード施釉陶器 / 畿内 / 東海 / 窯業 / 緑釉陶器 / 測色 / 生産過程 / 丹波篠窯
研究概要

実施計画に掲げた資料の再整理について、本年度は昨年度からの継続として、京都の篠窯跡群を重点的に取り上げ、地元教育委員会や個人が保管する未報告資料ならびに大阪大学が発掘調査した大谷3号窯の出土遺物について、研究協力者を交えつつ、統計的な分析を加えるなど、より詳細な検討を行った。この結果、これまで粗雑な作りの製品とみなされがちであった篠窯産の緑釉陶器に関して、その初期の生産段階では、緑釉陶器に容量や製作技術、細部形態など、規格性が高いことが明確化した。また、同じ篠の初期段階の緑釉陶器の椀では、輪状と蛇の目という高台形態の差違が、法量の大小や素地の色調あるいは硬軟に対応していることも新たに確認した。これは、金属器と青磁という模倣対象の差違に対応するものとみられ、『延喜式』にみえるような器種の作り分けを踏襲するものと評価できた。これまで、細部の分析や諸要素ごとの相関が十分に検討されてこなかった緑釉陶器の研究に新たな方向性が生まれたものと考えており、他の分析にも活用できる視点と言える。
もう一つの研究の柱である、色調の測定などに関しては、客観化のために分光測色計により測定を進めている。まず、胎土とそれに影響される見た目の釉調については、模擬的な実験による測定なども加えながら、その相関について検討を加え、大枠の見通しを得た。また、須恵器と緑釉陶器の間には、胎土の色調として差違が存在する可能性が測色により指摘でき、その結果をふまえつつ、胎土分析を行ったデータと突き合わせると、胎土に含まれる元素組成にも相違が存在することがみいだされた。今後さらに資料数を増やしていきたい。前段の検討が形態や法量・成形技術を中心に検討しているのに対して、この後段の測色などでは、胎土選定と施釉の検討を深めており、この両輪により窯業生産の実態がより明瞭になりうるものと考えている。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 三沢市平畑(1)遺跡から出土した緑釉陶器について2010

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦・長尾正義
    • 雑誌名

      青森県埋蔵文化財調査センター研究紀要 15(印刷中)

  • [雑誌論文] 考古学からみた法華堂の創建と東大寺前身寺院2009

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦
    • 雑誌名

      ザ・グレイトブッダ・シンポジウム論集論集 東大寺法華堂の創建と教学 7

      ページ: 48-67

  • [雑誌論文] 平安時代の銭貨-銭貨の粗悪化をめぐって-2009

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦
    • 雑誌名

      出土銭貨研究の課題と展望

      ページ: 1241-1249

  • [学会発表] 銭貨と土器からみた仁明朝2009

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦
    • 学会等名
      仁明朝史研究会
    • 発表場所
      京都大学文学部
    • 年月日
      2009-08-02

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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