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2011 年度 実績報告書

日本古代施釉陶器生産における畿内と東海の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 20520659
研究機関大阪大学

研究代表者

高橋 照彦  大阪大学, 文学研究科, 准教授 (10249906)

キーワード施釉陶器 / 畿内 / 東海 / 窯業 / 緑釉陶器 / 測色 / 生産過程 / 丹波篠窯
研究概要

京都府亀岡市の篠窯で作られた緑釉陶器は、平安京周辺の産地から技術を導入して生産が行われていることが明らかであるが、篠窯最古段階の緑釉陶器窯である大谷3号窯から出土した緑釉陶器には、細く高い貼り付け高台を持つものがわずかながらも存在した。検討の結果、この大谷3号窯では、平安京周辺だけでなく、東海系の製作工人が参画した可能性が想定できた。また同様に、平安京周辺の中核的産地である京都市洛北においても、中の谷3号窄のように、明らかに東海からの技術を導入している例がある。
一方で、滋賀県の緑釉陶器窯は、基本的な緑釉陶器製作技術として東海系技術を受け継いでいるが、近江最古段階の緑釉陶器窯であることが判明した甲賀市の春日北遺跡の6号窯は、篠窯でみられる三角形を呈する窯とみられ、篠窯との技術的な交渉が窺われる。
このように、狭域内での技術伝播だけでなく、旧国など地域を越えた技術の交流が輻輳したことが明確になった。そのような工人の動きの背景には、ある地域内の生産者自身の要求に基づくというよりも、それを管掌する立場の存在が無視できない。生産地が離れているにもかかわらず、緑釉陶器の製品としての共通性などを生む背景も、そのような地域間の動きによるものと推測される。
ただし、篠窯では基本的には平安京近郊窯の削り出し高台による製作技術を採用しており、その技法を後まで受け継ぐのに対して、東海系技術を取り入れた可能性がある大谷3号窯の貼り付け高台の手法は、継承されない。この点は近江の事例などでも同様であり、篠の技術は定着しない。そこには、新技術の導入時において特殊な遠距離地域との技術の交渉が存在する一方で、技術の親縁性などから製品の形態などは取り入れられるとしても、技術はそのままの形では継承されないという、技術受容のパターンを見出すことができる。
上記を含む研究成果は、報告書にまとめた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 書評古尾谷知浩著『文献史料・物質資料と古代史研究』2011

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦, ほか
    • 雑誌名

      日本史研究

      巻: 590 ページ: 84-91

    • 査読あり
  • [学会発表] 近年の緑釉陶器研究の動向2011

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦
    • 学会等名
      白山市横江荘遺跡出土施釉陶器研究会
    • 発表場所
      白山市埋蔵文化財センター(石川県)(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-10
  • [学会発表] 土器からみた日本古代史研究2011

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦
    • 学会等名
      文献史料と考古資料から古代史を考える会
    • 発表場所
      大阪大学文学研究科(大阪府)
    • 年月日
      2011-04-21
  • [図書] 篠窯跡群大谷3号窯の研究2012

    • 著者名/発表者名
      高橋照彦, ほか
    • 総ページ数
      520
    • 出版者
      大阪大学文学研究科考古学研究室
  • [備考]

    • URL

      http://www.let.osaka-u.ac.jp/kouko/index.html

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公開日: 2013-06-26  

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