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2011 年度 実績報告書

自然科学的手法を用いた古墳時代の金属器製作技術の調査と工具の復元

研究課題

研究課題/領域番号 20520669
研究機関別府大学

研究代表者

渡辺 智恵美  別府大学, 文学部, 准教授 (40175104)

キーワード出土金属製品 / 工具 / 鏨 / 復元 / 耳環
研究概要

本研究は出土金属製品に残された痕跡や古墳から出土する金属器製作用具(以下、工具とする)をX線CTスキャンや三次元計測など自然科学的手法で調査し、従来の考古学的成果とあわせて総合的に検討することにより、(1)製作技法や技術の変遷、工具の種類について明らかにすること、(2)材料や技術から製品の流通などの社会的背景を探ることを目的としている。
今年度は、平成20~22年度の調査分のうち、不足分を抽出し追加調査を実施した。あわせて出土品とすでに復元がなされた工具の比較調査を行い、刃先の形状や刃の湾曲度(丸み)等について検討し、工具を復元するための情報とした。金工用鏨については、遺物表面に彫り込まれた痕跡の違いを銅板に彫り込んで鑿による溝(痕跡)の違いを顕微鏡で観察した。彫金については金工作家・上野修治氏に依頼し、彫りながら確認して鏨の違いを検証しようとしたが、「表現したい線を打つたびに、使用中の鏨の刃先を調整するので用途別の鏨は存在しない」とのことであった。古墳時代においても同様の状況ではなかったかと推定し、今回は彫り方に合わせて、それぞれ鏨の刃先を調整したものを製作した。また、耳環の製作技法の情報をもとに、耳環を復元製作した。
今年度調査分のうち、遺物に残された工具の痕跡としては、大阪府一須賀古墳群から出土した耳環に、鉗子(ハサミ状工具)で挟んだと思われる痕跡や表面を平滑にするための箆状工具の痕跡が確認できた。また、直径1~1.5mm程度の凹みも確認できたが、工具によるものか否かは判断できなかった。
最終年度であったが、研究目的のうち、(2)の社会的背景を探るまでには至らなかった。しかし、古墳群単位で調査した耳環から集団内における配布状況などを推定する方法は確立できた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 島根県荒神谷遺跡出土青銅器の保存修復と冶金学的情報2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺智恵美, 増田浩太
    • 雑誌名

      アジア鋳造技術史学会研究発表概要集5号

      巻: 5 ページ: 43-46

  • [学会発表] X線CTスキャン方による象嵌大刀の調査2011

    • 著者名/発表者名
      鳥越俊行, 渡辺智恵美
    • 学会等名
      日本文化財科学会第28回大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20110611-20110612
  • [学会発表] 出土銅釦の集成と自然科学的調査2011

    • 著者名/発表者名
      友廣美和, 渡辺智恵美
    • 学会等名
      日本文化財科学会第28回大会
    • 発表場所
      筑波大学
    • 年月日
      20110611-20110612
  • [学会発表] 島根県荒神谷遺跡出土青銅器の保存修復と冶金学的情報2011

    • 著者名/発表者名
      渡辺智恵美, 増田浩太
    • 学会等名
      アジア鋳造技術史研究会第5回大会
    • 発表場所
      奈良県立橿原考古学研究所
    • 年月日
      2011-08-25

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公開日: 2013-06-26  

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