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2012 年度 実績報告書

青銅製祭器の生産と流通からみた弥生時代の社会変化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20520671
研究機関独立行政法人国立文化財機構・奈良文化財研究所

研究代表者

難波 洋三  独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 部長 (70189223)

研究期間 (年度) 2008-04-08 – 2013-03-31
キーワード弥生時代 / 銅鐸 / 青銅器流通 / 青銅器生産 / ICP分析 / 大阪湾型銅戈 / 柳沢遺跡
研究概要

平成24年度は、兵庫県望塚出土銅鐸と中国漢代の銅鏡4面のICP分析を実施し、中国漢代の銅鏡に外縁付鈕2式以降の銅鐸とほぼ同濃度のヒ素とアンチモンが含まれていることを一層明確にできた。これにより、弥生時代には日本列島産の自然銅が青銅器の原料として使われており、弥生時代の青銅器中のヒ素とアンチモンは意図的な添加物であるとする説を明確に否定できた。すでに指摘したように、弥生時代の青銅器中のヒ素とアンチモンは原料の銅に不純物として含まれていたと考えるべきである。よって、鉛の朝鮮半島産から中国産への変化と連動して青銅中のヒ素濃度とアンチモン濃度そして両者の比率が大きく変化することは、鉛と連動して銅も朝鮮半島産から中国産へと変化したことを示しているのであろう。このように本年度の研究成果によって弥生時代の自然銅使用説を明確に否定できたことは、今後の弥生時代中期における半島や大陸との長距離交易の評価、さらには畿内弥生社会の評価にも多大な影響を与えると考えられる。
また、本年度の研究では、中国の史料や青銅器銘文、銅銭の重量などから、中国漢代の青銅の価格が1㎏当たり五銖銭300銭程度であったこと、漢代の平時の籾の価格が1石すなわち約20リットル当たり50銭程度であったことを明らかにし、これに基づき、弥生時代に倭人が朝鮮半島にあった漢の楽浪郡までいけば、どの程度の代価で青銅器の原料を入手できたかを解明した。たとえば、全高約60㎝の近畿式銅鐸の重量は約10㎏であるが、これだけの重量の青銅は楽浪郡ではほ籾1.2立方メートルを代価として入手できたことになる。この検討を基礎として弥生時代の青銅器の価格を初めて推定できるようになったことは、本年度の研究のきわめて重要な成果であり、これによって、弥生時代の青銅器やその原料金属の流通、そしてそれらの代価の移動を、具体的に量的に分析することが可能となった。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] 青銅製祭器の再埋納2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 雑誌名

      『文化財論叢IV』奈良文化財研究所創立60周年記念論文集

      巻: IV ページ: 132

  • [雑誌論文] 新出の山田安貞著『古宝鐸記』2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 雑誌名

      『文化財論叢IV』奈良文化財研究所創立60周年記念論文集

      巻: IV ページ: 111-131

  • [雑誌論文] 銅鐸を使う国々2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 雑誌名

      『卑弥呼がいた時代』兵庫県立考古博物館開館5周年・史跡大中遺跡発見50周年記念シンポジウム資料集

      巻: なし ページ: 30-46

  • [雑誌論文] 大岩山銅鐸と伊勢遺跡2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 雑誌名

      『倭国の形成と伊勢遺跡』守山市歴史フォーラム-伊勢遺跡国史跡指定記念-

      巻: なし ページ: 難波資料1-8

  • [雑誌論文] 柳沢遺跡出土銅鐸の位置づけ2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 雑誌名

      『中野市 柳沢遺跡』長野県埋蔵文化財センタ―発掘調査報告書100

      巻: なし ページ: 192-201

  • [学会発表] 銅鐸を使う国々2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 学会等名
      『卑弥呼がいた時代』兵庫県立考古博物館開館5周年・史跡大中遺跡発見50周年記念シンポジウム
    • 発表場所
      神戸新聞松方ホール
    • 年月日
      20120930-20120930
    • 招待講演
  • [学会発表] 大岩山銅鐸と伊勢遺跡2012

    • 著者名/発表者名
      難波洋三
    • 学会等名
      『倭国の形成と伊勢遺跡』守山市歴史フォーラム-伊勢遺跡国史跡指定記念-
    • 発表場所
      守山市民ホール
    • 年月日
      20120810-20120810
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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