17世紀、鎖国下の日本にオランダ連合東インド会社V.O.C.がヨーロッパから請来したマジョリカ陶器は、多色使いの葉文foglieが特徴の、寸胴形壺(アルバレルロalbarello)が有名で、数例の伝世品とわずかな出土品がある。これらは縦のfoglie文が描かれることが特徴である。 ヨーロッパでこのfoglie文は16世紀代に流行するが、縦方向のfoglie文は極めて稀である。壺の形態も含め、ヨーロッパで同一型式の壺は知られておらず、その産地も判明していない。 本研究は大坂出土品を軸に、この陶器壺を現地に持参して実物比較を行うことによって、この産地と流通ルートを探り、ヨーロッパ・日本両地域での社会的背景を探ることを主たる目的とする。
|