本年は、東アジア都市空間構造の形成と伝播に関する資料の調査・収集を行なった。 都市図や都市風俗を描いた絵画などを、これまでに公刊されている文献や図録などから収集するとともに、博物館などに収蔵されている考古資料などを調査し、これを生活空間という観点から分析した。 今年度は、現地調査を実施できなかったので、来年度の調査に向けて準備として以下の作業を行なった。 歴史的地図と現代の地図とを比較しながら、現代の都市構造と前近代の伝統的な都市構造との比較検討を行い、歴史的地図に基づいて、現代の都市構造を決定している要素を地図上で析出した。今年は、とくに河南省開封、浙江省杭州(臨安)など、比較的史料に恵まれている都市を対象とした。 また河南省・浙江省ともに、考古学的研究の豊富なところであり、発掘調査などのおこなわれた遺迹に関する発掘報告などから考古資料の収集も行った。 また開封・杭州のように国都ではないが、世界遺産にもなっている山西省の平遥は、中国北方の典型的な城壁都市がほぼ清朝の時代のまま保存されており、伝統的な小規模都市の構造を研究するのに適切であるという観点から、予備調査を行なった。
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