今年度は昨年度に続いて基礎的な資史料の収集を行った。 現地調査としては、21年8月に、タイ・ラオスにおいて、都市空間構造の調査を行った。 とくにラオスは、タイ文化の影響が非常に強いといわれるが、同時にベトナムを通じて中華文明の影響も受け、ルアンブラバンのような古都には、それがある程度残存していることが予想された。しかしビエンチャンのようにフランス植民地時代の都市建設の影響が強いところでは、その要素が最も強い力をもっていると思われた。その点では、ベトナムのハノイなどと類似しており、タイの都市構造とは異なることが明らかになった。また博物館において、文献ではあまり公表されていない遺跡の実態を知ることができた。 タイでは、北部の中心都市であり、歴史的都市構造が明瞭に見られるチェンマイにおいて地図資料の収集、博物館等での見学、現地のフィールド調査を行った。博物館では、一般にまだ知られていない地方都市の遺跡が多く存在すること、一部では考古学的調査研究がすすめられていることを知りえた。 今年は、東南アジアにおいて、中華文明の影響のあり方を検討する材料を得たことが大きな収穫である。
|