平成23年度は4年間の研究期間の最終年度にあたるため、平成22年度までに行ってきた調査のまとめを実施した。それは研究成果を発表するための作業、投稿論文の編集委員会とのやり取りなどである。論文は、千里ニュータウン(NT)とバンクーバーに関するものを、ともに英文要旨を付して査読付雑誌に公表できた(千里NTについては『人文地理』第63巻3号に英文要旨を添えて、バンクーバーについては『都市地理学』第6号に英仏語要旨を付した)。 学会口頭発表は、23年度の4月と3月(24年3月)に2回実施した。前者は上記の論文でも深く触れた千里NTの分譲マンション供給が主要テーマで、対象地域はNT内にとどまらず、NTに関連する物件名称を持つ分譲マンションの展開地域まで拡大した。この口頭発表における対象期間の後にも多くの物件が供給されているため、継続的に供給業者への聴き取り、現地での確認作業、住宅地図を併用しての従前用途のチェックなどを行った。この成果については、骨子を単行本(分担執筆)にまとめ、詳細を学術雑誌に投稿すべく準備を進めている。また、年度末の24年3月には上海の田子坊に関する研究報告を行った。その際、現地の研究協力者から必要な情報を提供してもらった。この成果についても執筆途上にあるが、カラー図版が掲載できる査読付雑誌『都市地理学』第8号に英語・中国語要旨を付して投稿予定である。 また、バンクーバーの調査過程で、バリアフリー対応への地理額的な考察が必要であることが判明したため、今後の研究転回に向けてバンクーバー及びサンフランシスコ(ベイエリア)で公共交通機関や都心の諸施設で予備的調査を実施した(23年12月)。
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