本研究の目的は、人口減少地域を対象として、当該地域における社会経済的な中・長期変動のトレンドを把握した上で、当該地域の抱える問題点や課題を明らかにすることである。具体的には、複数時点での地域統計データを収集してデータベースを構築し、多変量解析による地域類型化とその変化の分析を行って、その背景の分析や、当該地域の問題に関係する対策・政策の再検討をすることを主眼点とする。この趣旨に沿って、研究の2年度目である当該年度には以下の5点を主とする作業・活動を行った。(1) 過疎地域に関する複数時点でのデータ等をもとにしてデータベースを構築する作業を継続した。入力作業は順調に進んでいる。人口減少地域に関する時系列的分析が為されていない中で、本データベース構築の意義は大きい。(2) 過疎地域を含むエリアで市町村合併が行われた地域に関するデータベースの構築作業も開始した。(3) 人口減少地域の典型例である旧産炭地域に関するデータベースの構築を行った。石炭政策の最終段階で産炭地域指定を受けていた市町村を対象として、それらの地域に関する社会経済的データを収集して入力作業を行った。(4) スウェーデンの研究者たちと国際ワークショップを企画し、石垣島において実行した。また、そこでの研究報告を行った。(5) 人口流出とソーシャル・キャピタルに関する論考をまとめた研究書(単独執筆)の原稿を完成し、出版に向けて出版社との具体的折衝を行い始めた。
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