研究概要 |
ギデンズ(Giddens,A.)の近代性(modernity)に関する理論を援用して、在日インド人社会の空間がグローバル化のもとで再編成される過程を脱領域化と再領域化の概念を用いながら考察した。具体的には、1)グローバル化した経済のもとでのIT産業の隆盛と関連づけながら、インド人移民の現代的意味を明らかにし、2)日本におけるIT技術者を中心にした新しいインド人移民の動向を分析した。3)インド人移民の新たな集住地である東京都江戸川区において、新しいコミュニケーションツールであるインターネットを媒介にして、対面接触によるコミュニケーションを前提とした古くからの定住地とは異なる「自分達の場所」が創造されている過程を調査した。4)以上を脱領域化と再領域化の概念を用いながらまとめ、東京のインド人社会の特徴の基盤には、フレキシブルなIT産業の雇用形態があり、それはまさに現在のグローバル化した経済の特徴であることを検証した。 これらの調査研究結果を、グローバルシティ・東京におけるインド人集住地の形成-東京都江戸川区西葛西を事例に、国立民族学博物館調査報告83、pp.41-58,2009、(査読有り)として論文発表を行った。
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