本研究の目的は、ライフコース分析という方法を用いることによって、エチオピアの森林域に住む焼畑移動農耕民の各年齢・成長段階(子供期・思春期・大人期)における環境知識・環境利用技術・生業技術獲得プロセスを定量的・定性的に明らかにし、「森林資源に依存して生きる人々は環境知識や環境利用技術を具体的にどのようなプロセスで習得するのか?」という問題に実証的に答えようとするものである。 研究初年度である本年度は、既存文献のレビュー、および既存データの整備をおこない、現地におけるデータ収集を効率よくおこなうための準備を整えた。研究経過の一部は国内外の学会において発表した。以下に概略を記す。 (1)既存文献の整理:文化地理学、生態人類学、歴史人口学、進化生物学、社会学、心理学などの分野において、ライフコースと環境知識・技術獲得に関連する国内外の文献を収集し、内容を吟味して本研究における課題を整理した。 (2)既存データの整備:これまでに研究代表者が現地で収集したライフヒストリーデータのうち、本研究テーマにかかわる未成年に関するデータを抽出し、各年齢における技術獲得の状況を整理した。これは現地調査のための基本情報として使用する。 (3)現地調査におけるデータ収集法の検討:現地調査でサンプリング調査をおこなうための小型GPSの使用テストをおこない、検討の上使用機種を決定した。 (4)研究経過の発表:以上の研究経過の一部は、日本地理学会秋季学術大会で発表し、さらに年度末に中国宜昌市でおこなわれた国際学会において、既存データの整備・分析の状況に焦点を絞って発表し、情報交換をおこなった。 以上、次年度の現地調査にむけて順調に研究を遂行することができた。
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