当研究は、大連市における日系企業の事業活動に焦点を当てて、進出年次別・業種別・資本別・規模別に、地域的生産体制の差異とその特徴を解明することである。 平成21年度は、大連市でJETRO大連事務所、日系企業(金属、電機など)、ソフトパークなどでインタビューを行った。また国内関係機関では、国土政策と地域政策による日系企業の規制と誘導の状況が、大連市においてどのようなっているかを調べた。その結果、製造業においては企業内国際分業生産体制として、日本の母工場との連携が明らかになり、次第に販売の現地化が進みつつあることがわかった。また中国に複数の工場を立地させている場合は、上海などが統括本部になり、大連市の営業範囲は東北や華北に限定され、生産担当の難易度もより下位ランク(少品種大量産)に位置することが多いこともわかってきた。 また、情報産業については欧米や日本からの投資も活発化し、新たな成長産業となってきていることが分かってきた。ここでは、ラボ形式による進出等、製造業とは異なる操業形態も確認できている。 毎年、日本語コースを卒業する大学生や語学学校生が多数卒業するなど、日本企業の事業活動にとって外部経済の活用ができることから、生産基地としての優位性を依然維持しているものの、近年は欧米系のIC企業やソフト企業が進出するなど欧米企業との労働力争奪が懸念されるなど、新たな課題も起きつつある。 この他、既進出企業のデータ整理については分析を続けており、次年度に向け地域類型化を行っている。
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