研究開始の本年度は、主に(1)シベリア図・極東地域図の収集、(2)モスクワ・ペテルブルクの国立図書館での地図所在調査を行った。 (1)については、ロシア語関係業者から、ロシアで出版されたアトラス類および研究書を購入し、近年、出版されて閲覧可能になった17〜18世紀のシベリア図および19世紀の極東ロシアの都市図・地域図の種類について把握を行った。なかでも、レーメゾフのシベリア地図帳の『官用地図帳』(サンクトペテルブルク国立図書館古文書室所蔵)の複製本と研究書を年度末に手に入れることができたのは収穫であった。これについては21年度以降に詳細な分析を行う予定である。 (2)については、8月にモスクワで1週間、サンクトペテルブルクで1週間の地図所在調査を行い、多くの研究情報を得ることができた。モスクワでは、ロシア国立図書館地図部での調査だけでなく、ロシア科学アカデミー科学技術史研究所の所長で、ロシア地図史研究の第一人者であるアレクセイ・ポストニコフ教授から、ロシアにおける地図史研究の状況と史料の残存状況を詳しくご教示いただくことができた。また、教授からは多くの参考文献を紹介いただいた。サンクトペテルブルクでは、主に国立図書館の地図部と古文書部で古地図の所在調査を行い、シベリア図だけでなく極東の地域図や都市図も調査することができた。21年度以降に、具体的に分析を行う予定である。
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