研究概要 |
(1)本年度力を入れたのは、浪花節のSPレコードの目録作成のための入力システムの構築である。入力の効率、検索・分析を見越した構築を検討した。現在、順次入力を進めている。 (研究目的(1)に対応) (2)-1 2代目天中軒雲月の実践について基礎調査をおこなった。90%に近いレコード吹き込み、映画出演についての基礎調査をほぼ完了した。現段階での調査について以下のA,Bにおいて口頭発表をおこなった。(A)2008年7月31日、東京国立近代美術館フィルムセンターにて「近代日本の語り芸研究会」を開催した。これは本科研の方向性を検討するための出発点にあたる研究会であり、口承文芸学会の例会と共催というかたちをとった。(B)2008年10月25日、口承文芸学会秋季例会「演じる戦争/観る聴く戦争」研究会にて口頭発表をおこなった。これまで浪花節研究において二次的な扱いを受けていた「女流」の演目・演者の特徴を分析することにより、戦争と浪花節の関係性がより深く考察できることを明らかにした。 (2)-2 1920〜30年代に生成する「漫談」というジャンルの語り芸について史料収集を進め、論文執筆をおこなった。そこでは、漫談が、レコード、トーキー、雑誌、ラジオなどによって複雑化する複製技術時代において、声のリアリティが再編成されていく局面を象徴するプロフェッショナルな芸であったという仮説を提示した。(研究目的(2)に対応) (3)現在、浪花節演者の海外遠征についての基礎調査のために古書資料、新聞資料を調査中である。(研究目的(3)に対応)
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