2008年8月にトンガ国王・ツポウV世の戴冠式、同年12月にニュージーランドでトンガ人移住者の政治意識についての調査を行った結果、次のことが明らかになった。 ポリネシアのトン王国では、1980年代から教員、企業家および海外移住者を中心に民主化運動が起きているが、立憲君主制を保障する憲法と王族・貴族・平民という身分階層制のために言論・出版の自由や普通選挙制などが規制されてきた。 このような状况下、2005年の国家公務員の賃上げ要求のストライキは、国民に政府批判の言動をもたらし、国王と政府は「国家政治改革委員会」を設置するなど、憲法改正と議会制度の見直しに着手した。政治改革委員会は、2006年に議会の議席数の過半数を平民議員が占める改正案を国王に提出し、議会で議論を開始した。しかし、特権喪失を恐れる貴族議員らの反対が強く、その改革案は議会で承認されず、政府側の議会運営に不満を持つ若者らが首都の建物に放火する暴動がおきるなど民主化の動きは一時頓挫した。 2006年に前国王が死去し、2008年8月に新国王の戴冠式が行われたが、新国王は2010年までにより民主的な政治改革を行うことを宣言した。そして新たに政治改革委員会を設置して、国王の権限や議会制度の見直しを推進することを約束した。当初、政治改革委員会への委員選出を拒んでいた貴族層も委員を送り、2008年10月から委員会は検討を行っている。
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