本研究では、トンガ王国、フィジー、ヴァヌアツ、ソロモン諸島の独立後の社会政治組織の変容に関する比較研究を行った。トンガでは民主化運動、フィジーではクーデターによる政治改革を試み、それぞれ選挙制度改革を行ったが、トンガの王政・貴族制は維持され、フィジーの政体にも新しい状況は生まれていない。ヴァヌアツとソロモン諸島は、中央と地方の権力の配分が大きな問題となっており、ヴァヌアツは地方の政治は伝統首長に、ソロモンでは連邦制による地方分権の方策を進めている。4国いずれも、民主政治を固有の政体に接合して国家運営を展開しているが、伝統体制の持続性が顕著である。
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