本研究の主目的は、英領植民地時代を経て1948年に国民国家として独立し、ビルマ(バマー)族を中心に、多民族の連帯を国是として連邦精神の育成を掲げてきたミャンマー政府の教育行政と、その状況下における民族教育を人類学的に分析することにあった。その結果、教育行政、教育内容いずれにもビルマ化の強い方向性が認められ、非ビルマ族の民族教育はその政府方針を注視しながら展開していることを確認した。今後とも、関連する文化的、宗教的脈絡におけるビルマ化の動向にも注目しながら、広く同国家の文化動態に人類学的にアプローチすることが必要だと思われる。
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