研究初年度のテーマは、東アラブ諸国の中でもマイクロファイナンス(以下、MF)の歴史が最も古いエジプトとレバノンに焦点をあて、現状調査を行うことであった。まず夏に予定していた現地調査に先だち、5月には同月の横浜でのTICAD IVと7月の洞爺湖サミットに向けて、NGOによるアドボカシー活動北協力し、『マイクロクレジットの現状-サミット報告書2006』の翻訳を行った。また7月下旬にはインドネシア・バリで開催されたアジア太平洋地域MCサミットに出席し、最新情報の収集に努めた。8月にはエジプトにおいてカイロとアレキサンドリアを中心にMFの現状調査を行った。まずアラブ諸国のMF機関連合組織SANABELの本部を訪れ、資料収集と責任者へのインタビュー調査を行った。またカイロでは3つのMF機関で現状調査とMF融資受益者たちへの聞き取り調査を行った。一つはパキスタン・イスマイール派のアガハーン財団のMF機関、もう一つはコプト教会系MF機関であったが、スンナ派とシーア派、キリスト教徒とムスリムとを区別せずに融資しており、模範的な活動を観察する機会となった。レバノンでの調査は政情不安から、本年度は断念した。夏の調査も踏まえ、11月にはマレーシアで開催されたイスラーム地域研究の国際会議で、「中東・北アフリカにおけるMCと開発」のテーマで研究報告を行った。またマレーシアはアジアでもMFが最も盛んな国であるため、多くの研究者との意見交換を行った。さらに研究成果を社会に還元する意味で、札幌JICAで、アフリカ・仏語圏からの研修生向けに中東北アフリカでのMFの現状と貧困削減について仏語で集中講義も行った。
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