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2009 年度 実績報告書

移民と本国社会―グローバル・サモア人世界のアイデンティティと互酬性

研究課題

研究課題/領域番号 20520716
研究機関法政大学

研究代表者

山本 真鳥  法政大学, 経済学部, 教授 (20174815)

キーワード移民 / アイデンティティ / トランスナショナリズム / 互酬性 / グローバリゼーション / 芸術 / サモア / ニュージーランド
研究概要

1.2009年9月に2週間、ホノルル(米国ハワイ州)でサモア人を対象に行い、2010年2月~3月に3週間の調査を、ホノルル経由にてアメリカ領サモアで行った。ホノルルでの調査は過去に経験があるので、概ねスムーズに行えるものと思っていたが、実際には人々はかなり移動していたり、知人が亡くなっていたりして、予想していたよりは成果が限られていた。儀礼交換に関して、サモア独立国出身の人々の問では、独立国政府が新たに設けたルールが働いて、以前ほどに派手な交換は行われなくなったとの声が聞かれた一方で、アメリカ領サモア出身の人々の問では、そうした規制は働かず、相変わらず派手な交換が行われているということがわかった。
2.アメリカ領サモアに関しても、派手な交換は相変わらずであった。地元テレビ局の協力を得て、現地で行われた大きな儀礼交換のビデオコピーを入手した。現地の人々の儀礼交換に対する意見をインタヴューで調べた。一方で、伝統文化保護の立場から、女性の作成する儀礼財を作る技術を保存しようという運動が展開されていて、その運動の現況に関する聞き取りと参与観察を行った。また、アメリカ領サモアでの大きな儀礼交換が、多くの外国入労働者のスポンサーとなることで、実施されているという実情も把握することができた。グローバル・サモア人世界の中の経済階層の差が明らかに生じているといえる。
3.一方、ニュージーランドと違って、サモア人アーティストはアメリカ領サモアにもハワイにもあまり目立つ存在ではない。その中でアメリカ領サモアで1名、ハワイで1名のインタヴューを行うことに成功した。しかし自らのアイデンティティが確立しているために、概ねアーティストは儀礼交換には批判的である。これら二人は明確かつ意識的にこの制度を批判し、自らは荷担しないことを明言した。互酬性の外側でサモア人アイデンティティの主張が始まっていることを把握した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] M.ミード『男性と女性』2010

    • 著者名/発表者名
      山本真鳥
    • 雑誌名

      井王俊・伊藤公雄編『近代家族とジェンダー』世界思想社、社会学ベーシックス 5

      ページ: 147-156

    • 査読あり
  • [雑誌論文] サモア独立国の政治と選挙制度-保守と革新の間2010

    • 著者名/発表者名
      山本真鳥
    • 雑誌名

      熊谷圭知・片山一道編『オセアニア』朝倉世界地理講座 15

      ページ: 302-316

    • 査読あり
  • [学会発表] ニュージーランド在住太平洋諸島出身アーティストのアート活動2010

    • 著者名/発表者名
      山本真鳥
    • 学会等名
      日本オセアニア学会27回研究大会
    • 発表場所
      名鉄犬山ホテル
    • 年月日
      2010-03-17
  • [学会発表] Multiculturalism in a Globalizing World : Views from Japan2009

    • 著者名/発表者名
      Okamoto, K., T.Ito, M.Yamamoto
    • 学会等名
      Association of Asian Social Science Councils 18th Biannual General Conference
    • 発表場所
      Bangkok, Thailand
    • 年月日
      2009-08-27
  • [学会発表] Nationalism in Microstates : in the Case of Real-politics of Two Samoas2009

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Matori
    • 学会等名
      The 16^<th> International Congress of Anthropological and Ethnological Sciences
    • 発表場所
      Kunming China
    • 年月日
      2009-07-29
  • [学会発表] Role of Japanese Anthropology in the World System of Anthropological Knowledge2009

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Matori
    • 学会等名
      The 16^<th> International Congress of Anthropological and Ethnological Sciences
    • 発表場所
      Kunming China
    • 年月日
      2009-07-27

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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