研究概要 |
本研究の目的は、長崎の国際墓地埋葬者に焦点をあて、日本の近代的産業および西洋医学に著しく貢献した外国人功労者の来歴と人物像をあきらかにすることである。外国人功労者の足跡調査およびその業績の再検討を行うことによって、日本の近代化の発展過程がきわめて鮮明なものとなる。なぜなら、外国人功労者がもたらした情報や技術は、日本の近代的造船業、炭鉱業、海運業、通信業および西洋医学の源となったからであり、その源こそ日本の近代化にたいする影響を明らかにするものだからである。この作業によって、いままで充分評価されてこなかった長崎外国人居留地にかんする歴史的・文化的研究をいっそう前進させることができる。 この目的のもとに、1)ワシントンD.C.の米国国立公文書館などに保存されている旧長崎米国領事館公文書および長崎に関連する占領期資料の調査2)国際墓地ならびに長崎外国人居留地ゆかりの人々の足跡調査および子孫の聞き取り調査3)ロンドンの英国国立公文書館の調査を行った。 以上をとおして、特記すべき資料の収集および写真千数百枚の複写を行った。長崎外国人居留地ゆかりの人々および長崎国際墓地埋葬者についても、多くの関連資料を入手し、子孫と連絡を取って聞き取り調査ができた。なお、長崎の図書館や資料館がまだ保管していない、1859年~1906年の「Despatches from U.S. Consuls in Nagasaki, Japan」(長崎アメリカ領事が本国へ送った報告書など)などのデジタル・ファイルを入手することができた。
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