本研究は、旧帝国大学時代に台湾に流出し戦後も現地に遺存した幕末の国学者長沢伴雄(ながさわともお)の膨大な旧蔵書の1点1点の精査を行ない、幕末の和歌壇の一翼を担った長沢伴雄の伝記を明らかにし、国内の資料によってのみ構築された傾向が否めない国学史を是正し幕末期の京坂の文壇像を再構築することを目的とする。 具体的な方法として、台湾大学蔵「長沢文庫」を精査し、識語・書入等をデータベース化する。 さらに台湾大学に収められる長沢伴雄の歌文集および自筆日記を調査し、活字化を行う。国学者の文庫調査によって、長沢伴雄を一つの軸とした京坂の和歌・国学壇の諸相を解明することが可能となり、新見・新資料を報告、論文化し、新しい視座を内外の研究者に公表する。
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