中国では昨年春以来、司法改革にかんする重要な会議が相次いで開催され、新たな改革の取り組みについて検討された。11月に中国共産党中央政法委員会はこれらの検討結果を取りまとめ、「司法システムと業務メカニズムの改革を深化させる問題についての意見」を公表し、2009年から新段階の改革に着手する方針を明らかにした。 以上の経緯を踏まえ、本年度の調査研究は、新しい改革をめぐって提起されたさまざまな議論を集約し、これらの分析を通して、中国の司法が直面している問題を解明することに重点を置いた。とりわけ、1998年〜2008年にかけて実施されてきた第1次および第2次の人民法院5力年改革綱要との内容の違いを明らかにすることにより、すでに達成された改革と、まだ残されている課題とを分別する作業を、重点的にすすめた。 これらの調査内容を確認するため、7月および3月たそれぞれ1週間程度、北京、上海、浙江などで、基層人民法院、中級人民法院を対象とする現地実態調査を実施した。この調査実施にあたっては、中国政府司法部および中国法学会の協力と支援を得た。 以上の調査研究によって、新段階の改革における重要な課題と、そこに残されている問題とを明らかにし、本研究が与えられた期間におこなうべき調査の重点を明確にすることができたものと考える。
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