中国では2009年3月17日に「人民法院第3次5ヵ年改革綱要」が公表され、2009~2013年の間の司法改革の具体的な目標が明らかにされた。本研究では、この「綱要」が設定した改革の内容についての分析に取り組み、その意図、目的、改革の現状などを解明をすすめてきた。昨年度までに、基本的にはそれらの課題をある程度まで達成することができた。 その結果、第3次改革の期間中にはあまりめぼしい改革が実現されていないことが判明した。また、大量の裁判官が流出し、司法体制の維持に大きな障害を作り出している実態も明らかとなった。 これらの問題が何に起因するかについて、2010年9月および2011年3月に、北京、天津、上海、済南などでヒアリング調査を実施し、あわせて資料収集を行った。また、その間に中国の研究者と意見交換をおこなった。 以上の調査研究によって、本研究が与えられた期間におこなうべき調査について、おおむね初歩的な成果を得ることができたものと考える。
|