1.第1回研究会を行い、比較の対象とするポーランド・ロシア・中国について、(1)表現の自由・知る権利をめぐる問題状況を念頭に置き、(2)新聞・インターネットを含むメディアの全般的状況を視野に入れつつ、(3)公共放送と商業放送とに分化した(あるいは未分化の)放送メディアの法的規制とその帰結を、(4)権力・政治と資本・市場.という2つの要素と関連づけながら分析し、(5)各国における問題状況の異同を、体制転換の局面とその型という視角から説明する、という方法的枠組みを提起した。 2.上記の方法的枠組みを踏まえ、研究代表者(ポーランド)と連携研究者(ロシアおよび中国)が、それぞれ第1回の現地調査を実施した。その結果、ワルシャワ大学ジャーナリズム学部、ロシアのグラースノスチ擁護財団や非常ジャーナリズム・センター、中国社会科学院法学研究所伝媒与信息(メディア・情報)法研究室など、研究上重要な意味をもつ機関と接触し、今後の足がかりを得ることができた。 3.ポーランドについては、とくに、メディア法をめぐって現在進行している2つの事態((1)国庫を株主とする株式会社形態をとる公共テレビと公共ラジオの役員が、政治状況の変化にともなって変動する様相、(2)そのように「政治化」された状況を克服することを課題のひとつとしたメディア新法案をめぐる与野党の交渉)を継続的に観察した。 4.本研究課題にかんするホームページを開設し、ポーランドのメディア年表などの資料を公開した(http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/~komorida/)。
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