1.2008年度に引き続き、研究代表者(ポーランド)と連携研究者(ロシアおよび中国)が、それぞれ第2回の現地調査を実施した。ポーランドでは、現行のラジオ=テレビ法(1992年)の制定に至る過程で現われたメディア関係法案の蒐集やメディア研究者からの聴き取りを行なった。ロシアと中国では、前年に接触した関係者から、その後の立法動向などについての聴き取りを引き続き行なった。ロシアでは、国営放送と区別された「公共放送」という観念が希薄であること、メディア関係者のメドヴェーヂェフ大統領に対する評価は一義的なものではないこと、中国では、国営メディアが広告収入をつうじてきわめて収益性の高い産業となっているという独特の状況にあること、などが明らかになりつつある。 2.ポーランドについては、前年度に引き続き、メディア法をめぐって現在進行している2つの事態((1)国庫を株主とする株式会社形態をとる公共テレビと公共ラジオの役員が、政治状況の変化にともなって変動する様相、(2)そのように「政治化」された状況を克服することを課題のひとつとしたメディア新法案をめぐる与野党の交渉、大統領の拒否権による立法の挫折、メディア関係者による対案の提出)を継続的に観察し、その一部をホームページに掲載した。 3.2の事態の直接の基点となっている2005年のラジオ=テレビ法改正法の立法過程と同法に対する2006年の憲法法廷違憲判決の分析を行なった。
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