● 文献調査は、民間支援機関に関する情報の収集を行い、日本における家族紛争当事者(とりわけ面接交渉紛争)への情報提供に加えてモラルサポートなどを行っている機関が極めて限定的であることが確認された。 ● 英国における面談調査では、家族紛争の当事者への支援体制は公的機関よりも民間機関によるものが整備されているが、それぞれの機関のポリシーなどによって支援内容に多様性があり、必ずしも当事者へ適切な支援がなされていない場合もあることが明らかになった。ただ、個別具体的な支援内容は、日本における支援の仕組みを考えるために個人主義に基づくもので参考になるものが見られた。 ● 日本における面談調査では、(1)公的相談機関が相談あるいは情報提供を組織的に行っていること、(2)弁護士による支援活動は家事事件の専門といえる弁護士の場合は積極的かつ有効な支援を行っているが、一般には十分とはいえないこと、(3)家庭裁判所の調査官が家事事件において支援の役割を果たしていること、(4)行政書士などが新たな分野として情報提供や支援活動にかかわっているが、適切な支援とはいえない危険も含んでいること、などが明らかになった。また、紛争処理の過程を通して、女性に比べて男性の事件への認識や紛争処理に対する役割あるいは能力が劣っているとの印象を強くもった。 ● こうした情報を得たので、家族紛争やその処理および対応の実態がある程度明らかになったので二年目は、支援体制の創設のための理論的枠組みなどの検討が可能になった。
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