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2009 年度 実績報告書

近代国家の動力因としての「生きる権利」の保障に関する歴史研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530009
研究機関岡山大学

研究代表者

波多野 敏  岡山大学, 大学院・社会文化科学研究科, 教授 (70218486)

キーワード基礎法学 / 法制史 / 西洋法制史 / フランス法 / フランス革命 / 生存権
研究概要

今年度は特に、革命期における国民の生存を支える諸制度として、土地をはじめとする財産の再分配や労働賃金と生活必需品価格のバランスを確保するための経済政策など、公的扶助制度以外の制度を含めて検討した。具体的には、1793年前後の公的扶助制度に加えて、革命初期からの土地制度、経済政策について、おもにArchives parlementairesなどの議会資料、および国立図書館等に残されている当時の議会資料を中心に検討し、さらにコート・ドール県古文書館において当時の救貧政策等にかんする史料を調査した。
これによって、革命期において、国民の生存を支える制度としては、公的扶助制度にくわえて、土地政策や経済政策の根底に国民の生存への配慮がありこと、またこれが市民権の基礎として重要な役割を果たしており、一人一人の市民の生存を保障することが国民国家の存立の基盤ともなっていることが確認できた。しかし、一人一人の生存への配慮をすることとは必ずしもこれを「権利」として構成することにはつながらないし、「生存権」的な権利として構成されていても、その内容は論者によってさまざまであり、「権利」の規定の仕方によっては、それを確実に実現することは非常に困難となる。この種の「生存権」的権利のを保障していこうとする配慮と、強権的な恐怖政治が出現したこととは無関係ではない。
「生存権」の内容や保障の仕方と政治のあり方との間には一定の関係があり、この点を解明することが、最終的に革命期の国民国家の性質を理解するための重要な課題であることも確認できた。この点は、最終年度の課題となる。
以上の点については、後に記載の論文及び学会報告の形で中間的な成果を出した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 所有・労働・扶助-フランス革命期における生存の手段2010

    • 著者名/発表者名
      波多野敏
    • 雑誌名

      岡山大学法学会雑誌 59

      ページ: 521-571

  • [学会発表] フランス革命期における市民権の基礎2009

    • 著者名/発表者名
      波多野敏
    • 学会等名
      法制史学会近畿部会
    • 発表場所
      京都大学
    • 年月日
      2009-10-17

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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