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2008 年度 実績報告書

後見人責任担保法制の史的変容の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20530015
研究機関福岡工業大学

研究代表者

西村 重雄  福岡工業大学, 社会環境学部, 教授 (30005821)

研究分担者 篠森 大輔  神奈川大学, 法学部, 准教授 (40363303)
キーワード後見人 / ローマ法 / 民法 / 保佐人
研究概要

後見人が被後見人の財産管理から被後見人に対して負担する債務を実効的に確保するため、ローマ法では後見人就任に際し保証人を立てて約束し、また、専主政期以降は、後見人財産全部につき黙示の抵当権を認め、母が再婚した場合は、その夫財産にも及ぶものとされた。フランスでは、慣習法地域でも、黙示の抵当権を認め、フランス民法はこれを受継いだ。これと並び、後見人の担保約束=保証人の設定が要請されたが、多くの地域で貫徹せず、ノルマンディーおよびブルターニュにおいては後見人選定親族が保証人を引き受けたものとする規律が導入されたが、多くの不都合を惹起することとなり、フランス民法制定時には政府草案に採用されたが、議論の末、否定された。
ドイツでは、帝国ポリッツァイ条例により、後見人に対し担保設定を要求するものとしたが、都市法ではこれを規定しないものも多くあった。ローマ法以来の黙示の抵当権が存在することが、その理由とされる。プロイセン後見法の展開の中で、担保設定は公務を引き受ける後見人には過大の負担であるとする見解が有力となり、ドイツ民法はこれを受けて特段の事由ある場合に限り課し、また黙示の抵当権は破産法上の優先弁済権に転化した。
日本法は旧民法に法定抵当権を規定したが、民法では親族会裁量による担保供与義務を規定した。戦後の民法改正でこの規定も削除され、現在は後見人責任を実効的に確保しうる法的手段は全くかけている。成年後見の普及のためには、何らかの手当が必要と思われる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 西欧後見法2500年からみた日本法の不思議2008

    • 著者名/発表者名
      西村重雄
    • 学会等名
      九州法学会2008年総会
    • 発表場所
      西南学院大法学部(福岡)
    • 年月日
      2008-06-28
  • [図書] 「ドイツ法の継受と現代日本法」ゲルハルト・リース教授退官記念論文集2009

    • 著者名/発表者名
      西村重雄
    • 総ページ数
      607
    • 出版者
      後見人の担保供与義務-わが国における西欧法継受の一事例

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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