研究課題/領域番号 |
20530016
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
國分 典子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (40259312)
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キーワード | 公法学 / 基礎法学 / 東洋史 / 政治学 |
研究概要 |
本研究は、韓国憲法論において「民主主義」が具体的にどのように理解されてきたかを明らかにしようとするものであり、具体的には: 1、立憲主義と民主主義の関係性に関する韓国の理論状況の分析 2、大韓民国建国後の民主主義理念の変化・発展とその内容に関する分析 3、韓国憲法判例に現れた民主主義に関する言及の分析 を行うものである。 23年度は、韓国国会図書館等において研究実施計画に掲げた「基礎的 文献調査の遂行」を継続して行うとともに、主に、上記の1と3に関連しての資料分析、論文作成を行った。 1については、韓国で、後掲の論文「大韓帝国から大韓民国へ」と、著書『憲法学〓 課題』(金孝全教授停年記念論文集)に掲載した「韓末の国家概念」を発表した。前者では、植民地支配に至る過程での統治体制の状況を当時の法制から分析し、また当時の民間の改革運動が民主主義・立憲主義についてどのような視点をもっていたかを考察した。後者では、建国以前の時代の国家思想の状況を現代の韓国の学者たちの議論との繋がりのなかで分析した。さらに論文「国境ならぬ国境」では、現行憲法上の文言として出てくる「民主的基本秩序」についての議論を分析し、現代の韓国憲法路において民主主義理念のもつ特徴と問題点を考察した。 3については、後掲論文「国境ならぬ国境」のなかで扱うとともに、論文として公開するには至っていないが、韓国の議員定数不均衡決定等の民主主義に関連する韓国憲法裁判所の主要決定を分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を続ける中で、一昨年度、共和国理念についての分析研究の方向性を新たに付け加えたことで判例分析研究が遅れたが、一方で23年度は、判例のターゲットも少し絞り込み、他の分析と関連させながら、研究を進め、関連論文も発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は、本研究の最終年に当たる。これまでの研究の中で浮かび上がってきた「共和国」理念の再考という問題を軸に、現代の学説・判例上の民主主義理念の分析とこれまで行ってきた歴史的な視点からの考察をつき合わせて、本研究テーマについての一定の結論を出すべく、研究を進めたいと考えている。
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