近年各国で行政改革の一環として進められつつある公私協働の現象を中心に、契約手法の実熊的、法制度的な検討とそこで蓄積されつつある行政目的達成のための規範の実体を分析・整理するとともに、それらの法的コントロールための制度と手法・その現壮を明らかにする比較法的研究をおこなった。 そのために、比較法的な検討の素材として、EUでの公共調達関連指令のその後の改正論議を客観的に跡づけて、現在のEUレベルでの公共調達法制がどのような内容に発展してきているかを明らかにし、またその国内措置として、ドイツにおける公共調達指令の国内措置の改正論議と現状を明らかにし、伝統的な公共調達以外の分野での法的統制をめぐる議論についての文献を収集し、調査・分析を進めることができた。ドイツでは、競争制限禁正法改正等を内容とする「公共調達の現代化に関する法案」が議決され、中小企業に配慮した公共調達改正がなきれる中で、さらに公共調達に関する権利保護手続あ効率化、事後審査手続の迅速化のための制度改革を実施した。特に、EUの公共調達関連指令の改正内容と、その国内措置としての競争制限禁止法改正の内容、さらに下位法としての公共調達令、関連の調達規程の改正内容については、特に公私協働等との関連も含めて明らかにすることができたので、その概要とわが国からみた法的意義についての研究成果については、次年度に公表したいと考えている。こうした公共調達法制の改革の動向が、さらに行政法における契約的手法の法的規律について、どのような射程と意義を有するものであるのかについては、今後の理論的な研究の課題として、検討を深める予定としている。
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