2008年度は、3年計画の本研究の初年度であり、第一に研究の全体像を明確化すること、第二に、その全体像を押さえたうえで、具体的な成果につながる作業を進めることを目標とした。 第一の目標に関連して、8月末から9月初めにかけてフランスに出張し、研究に関連する文献を可能な限り収集した。第五共和制憲法制定50周年にあたり多くの研究成果や回顧録が発表されていたので、実り多い出張であった。本研究は、構想してから10年間手を着けずに放置していたものであった。そこで、帰国後は、その空白を埋めるべく、現在のフランスにおける研究の傾向を知るために、そこで集めた文献の分析にとりかかった。空白期間が長かったため多くの文献が蓄積されていたため、まずは、法学者によるものから読み始めた。その結果、大まかな研究の傾向は把握できたものの、歴史的アプローチを中心とする本研究に直接役に立つものはなかった。直接役立つと思われるのは、歴史学的研究や当事者らの回顧録と思われるが、こうした資料の分析までは手が回らなかった。 第二の目標に関連しては、前述のフランス出張前に、1958年憲法の制定過程の研究を実際に開始した。まずは、主として歴史学の研究に依拠しながら、憲法制定につながる政治的背景・文脈を究明しようとした。その結果、この点については、明確なイメージをつかむことができたので、草稿を作成した。次に実際の制定作業の分析に着手したが、現在のところ、フランス出張において収集した資料の分析に時間を取られ、この作業は進んでいない。
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