平成21年度に行った研究活動では、前年度現地調査において収集した資料およびすでに確保しておいた資料を分析する作業が大きな割合を占めた。すでに大まかな構想はできていたが、資料に直接あたりながらその内容を確かめ詳細化していく作業に時間を費やした。特に、歴史研究については、事実を客観的に確認しておかなければ、その意味づけもできないので、おろそかにできず予想以上に時間がかかった。また、研究全体について歴史的な裏付けを取って見取り図を描いてから執筆作業に着手しようと考えているので、同年度において成果を具体的な形にするところまで行かなかった。 文献資料を補うためにインタビューを実施する必要があると考え、平成22年3月にフランスで調査を行った。これは、第一に、文献資料からはその全体像がつかみにくい研究者の動向を知ることが、社会状況を明らかにする上で有益であると思われたからであり、第二に、一般的に、資料分析において、社会の雰囲気のようなものから研究も自由ではないので、そうした時代状況を、同時代を研究者として過ごした人に聞いてみることが有益であると考えたからである。 なお、平成22年1月に学会報告の依頼を受けた。当初の本研究の進め方とは少しずれるが、本研究の枠組みに入るテーマであるので、依頼を引き受けた。学会テーマは「憲法と政権交代」であり、そのテーマでフランスのことについて報告を行うことになった。3月29日に予備研究会があり、「憲法と政権交代-フランス第五共和制の場合」というテーマで報告した。学会報告は平成22年5月である。
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