研究概要 |
1,研究の具体的内容 わが国では、社会資本のストックが相当量に及んだ結果、その維持管理、更新に関する多額の経費問題が喫緊の課題となってきている。将来の展望としては、利用度の著しく低下した社会資本の維持管理問題、その公用廃止が、不可避の政策課題として登場することとなる。利用度の著しく低下した社会資本を廃止するための要件、手続、補償措置等を備えた法制度、法理論を解明しておくことが、本研究の課題である。社会資本の整備に関する法分野(公物法の分野)と比較法研究が中心となる。 2,本年度の具体的研究成果 初年度にあたり、人工公物に関する法整備が進展しているドイツ法を文献調査と訪問調査を利用して検証する予定であった。但し、日本公法学会の開催校を担当したため、海外訪問の機会を持てなかった。このため、外国法研究と、国土交通省における実態調査を中心として行った。国土交通省では、都市交通、市街地整備、都市計画、計画訴訟に関して、資料収集と担当者と議論する機会を長時間持つことができた。その成果として、市民参加型制度設計に関しては、後述の「自治体総合計画に関する一考察」を公表することができた。また、誘導に関する比較法研究として、後述の「Die Aufgabe des Rechts bei der Steuerung der Verwaltung in Japan」をドイツにおいて、公表することができた。 また、社会実験を法学的研究として初めて扱った「社会実験と法制度の設計」を公表することができた。さらに、本研究の中核的な構想に当たるコンパクトシティーを、法制度論として初めて分析した著書『都市空間制御の法理論』を公刊することができた。上記の各論文は、いずれも先行業績のない独創性の高いものである。来年度に予定している外国訪問調査の前提条件整備をはかることができた。
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