本研究課題に関する2008年度における成果は、森英樹編『現代憲法における安全-比較憲法学的研究をふまえて』(日本評論社)所収の拙稿「エコロジー的安全と憲法〜ドイツ語圏諸国のエコロジー評議会構想」である。 本稿は、近年わが国でも設置が提唱されている「将来世代の環境利益や人間以外の生物の環境利益を守る番人としてのオンブズマン」の検討において参照されるべき先例として、ドイツ語圏諸国におけるエコロジー評議会構想の展開を跡づけたものである。 ドイツでは、2008年の国法学者大会において世代間公正がテーマとされ、基本法に世代間公正に関する新たな条項をつけ加える基本法改正法案が連邦議会に提出されたことに関する専門家の公聴会が開催されるなどしている。そのなかでも、永続可能性評議会の構想が提唱されている。 研究実施計画では、今年度は個人の環境保護義務にかかわる「基本義務」概念について検討する予定であったが、上記の状況もあり、本研究課題の一部として次年度以降に予定していた制度的側面を当面先行することとなった。
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