研究課題/領域番号 |
20530033
|
研究機関 | 大阪国際大学 |
研究代表者 |
太田 照美 大阪国際大学, 現代社会学部, 准教授 (80388652)
|
研究分担者 |
村上 武則 近畿大学, 法科大学院, 教授 (60033742)
SCHELLER Andreas 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (80324739)
|
キーワード | 公法上の原状回復請求権 / 公法上の結果除去請求権 / 公法 / 違法無過失行政 / 社会法上の回復請求権 / 法治主義 / 国家補償 / BGB(ドイツ民法典)の損害賠償規定 |
研究概要 |
平成20年度においては、シェラー・アンドレアスがドイツを訪れ、公法上の結果除去請求権や社会法上の回復請求権に関する最新の資料・文献を収集できた。また日本の文献に関しても最新の資料・文献を収集できた。それらの最新の資料・文献に基づいて広島・大阪等で研究会を開催し合同で調査・分析・研究した。大きな研究成果は、シェラーが収集した文献の中でもとりわけ有意義な文献に基づいて、特にドイツにおける社会法上の請求権と公法上の結果除去請求権および民法(BGB)の損害賠償規定との間の区別とそれぞれの意義に関して深く解明したことにある。即ち社会法上の回復請求権は公法上の結果除去請求権の足りないところを埋めるという積極的意義を有していること、即ち後者は過去に存在していた権利利益の原状回復であるが、前者は適法に行政が行われていればあったであろう権利利益を実現させることを目指すものであり、又あったであろう権利利益の回復という点では社会法上の回復請求権とBGBの損害賠償規定は全く同じであるが、前者は法治主義に基づいて存在していたであろう権利利益の回復をめざすという点で異なるということである。他方わが国では、日本弁護士連合会が行政事件訴訟法案の中で訴訟類型として原状回復訴訟を提案したが、ドイツの場合には実体法上の権利として結果除去請求権や社会法上の回復請求権が学説・判例上確立された権利となっていることを再確認し、上記のドイツの法状況を参考にしながら、日本にも国家補償請求権の中で、実体法上の権利としての原状回復請求権の確立を図る意義があることを再認識し、わが国にも原状回復請求権を確立するための視点を得た。
|