研究課題/領域番号 |
20530033
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
太田 照美 京都産業大学, 法学部, 准教授 (80388652)
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研究分担者 |
村上 武則 近畿大学, 法科大学院, 教授 (60033742)
シェラー アンドレアス 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (80324739)
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キーワード | 公法上の原状回復請求権 / 公法上の結果除去請求権 / 景観権 / 景観利益 / 差止訴訟 / 不法行為責任 / 国立マンション景観訴訟 / 鞆の浦景観訴訟 |
研究概要 |
平成21年度においては、太田と村上がドイツの元ミュンヘン大学教授バズーラ先生を訪れドイツの原状回復請求権の基本原理を学び、日独比較研究を行うとともに、貴重な文献資料を入手できた。またシェラーもドイツを訪れ、とりわけ景観と原状回復に関する最新の情報や資料を入手できた。また日本の文献に関しても最新の資料・文献を収集できた。それらの最新の資料・文献に基づいて広島で研究会を開催し合同で調査・分析・研究した。大きな研究成果は、太田が産大法学43巻3・4号に「景観訴訟の法律問題」と題してわが国の景観保護と差止訴訟、原状回復訴訟の問題点を判例および学説に亘り解明できたことである。また、村上も、景観訴訟に関して、ドイツの特徴点を紹介するとともに、日本における判例・学説の「景観利益」の内容と、ドイツの結果除去請求権における「絶対権」との比較に関して、両者の特徴点を解明できた。さらに、ドイツにおける原状回復請求権としての結果除去請求権と差止請求権との違いを解明し、日本における景観利益に基づいて差止訴訟ができることの法理論や判例に関して考察・解明できた。またドイツではエルベ渓谷に橋を建設することにともない、世界遺産指定が取消された事例を紹介し、景観保護にあついドイツにおいても、実際には開発と景観保護が矛盾対立している状況をも紹介した。このように平成21年度の研究成果として、景観保護に関して原状回復訴訟と差止訴訟の意義について、日独比較ができた。これらの成果および昨年の成果を踏まえ、平成22度においてさらに原状回復請求権の意義について成果を上げて行きたい。
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