研究課題/領域番号 |
20530033
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
太田 照美 京都産業大学, 法学部, 准教授 (80388652)
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研究分担者 |
村上 武則 近畿大学, 法科大学院, 教授 (60033742)
シェラー アンドレアス 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (80324739)
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キーワード | 原状回復請求権 / 結果除去請求権 / 公法 / 違法無過失行政 / 国家補償 / 鞆の浦景観訴訟 / 地方公共団体における過誤納金返還 / 社会法上の回復請求権 |
研究概要 |
本年度は3年間の研究期間の最終年度にあたる。初年度はドイツの社会法上の回復請求権の理論および判例に関して現状がどうなっているのかについて考察した。次年度はとりわけ景観保護と原状回復に関して、国立マンション景観訴訟および広島県鞆の浦埋立認可差止訴訟および差止判決の意義に関して考察したところである。最終年度は、まとめを行うとともに、研究成果の応用問題として、日本においてとりわけ地方税法上の過誤納金の返還問題に関し、これまで誰も気付いていない解釈理論として、原状回復請求権または結果除去請求権に基づく返還理論を提案し、地方税法の5年間の時効期間を過ぎても返還が可能であることを主張した。従来は損害賠償請求または不当利得請求ならびに補助金・寄付としての返還を認める説のみが存するところであるが、損害賠償は故意・過失を、不当利得は課税処分の無効を前提とするが、無過失であっても救済を認める公法上の原状回復請求権による解決は、わが国ではまったく新しい理論であり、学界で大いに注目されうる理論と確信する。 さらに、今年度の研究計画に基づき、太田と村上が京都および大阪で共同研究会を10回行い、シェラーと村上は広島で1回共同研究会を開き、さらに太田とシェラーおよび村上が広島で1回共同研究会を開催して、まとめの作業と、わが国における最新の問題(過誤納金返還等)への原状回復請求権の適用の意義に関して考察した。またシェラーがドイツに赴き、結果除去請求権に関して最新の情報および文献を収集し、大きな成果をあげることができた。 3年間の研究成果により得られた「わが国における原状回復請求権の理論」を、日本法への現実的問題へ適用し、「地方公共団体における過誤納金返還と原状回復請求権」(仮称)と題して論文を公表する予定である。
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