前年度まで3年間にわたって科学研究費補助金により実施した「消費者を欺隔する取引行為に対する有効な施策のあり方に関する研究」(基盤研究(C)20530046)の成果を発展させ、不公正な消費者取引行為全体を包括的に排除・防止する法制度・施策のあり方を考察して行くに当たっ七、本年度においては、これまで把握してきた外国の状況をより具体的かっ正確なものとするため、まずEU主要国である英国、フランス、ドイツ及びスウェーデンを調査した。これら諸国では、不公正な消費者取引行為を包括的に排除・防止する不公正な商慣行に関するEU指令に適合した国内法制の整備が予定より遅れていたが、本年度において、その整備がほぼ完了すると見られることから、その状況を具体的かつ正確に把握することに努めた。その結果、本年度において、それら諸国では、前記EU指令に適合するよう既存の法律を改正する等により国内法制を整備するとともに、ドイツを除いて、消費者行政の中心となる行政機関の権限を強化してきていることを確認した。そして、こうした調査結果をこれまでに把握してきた成果と合わせて、「EUにおける不公正な消費者取引行為の規制」と題する研究論文として『国民生活研究』に3回にわたって掲載した。 また、韓国においても、日本よりも不公正な消費者取引行為全体を包括的に排除・防止する消費者行政の体制整備が進んでいることから、韓国の状況を把握することとし、まず、独占禁止当局の韓国公正取引委員会に消費者行政の権限が集められてきた経緯、その所管する法律の法制面及び運用面の状況を概括的に調査した。
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