本年度は、この科研費による調査研究の最終年度であるため、その前の科研費の平成17年度~19年度調査研究(「消費者を欺瞞する取引行為に対する有効な施策のあり方に関する研究」)の成果も踏まえて、調査研究の成果を総合的にとりまとめ、図書の形で調査研究の成果の公開を図ることとした。 日本においては、海外主要国の不公正な消費者取引への取組みについて研究蓄積が少なく、その最近の具体的な状況も満足に紹介されているとはいえない。上記の調査研究によって明らかになった米国、EU及び韓国における不公正な消費者取引の規制の展開過程と最近の状況について、横断的に比較できる形で、かつ、過去から最新までの状況を包括した形で紹介した研究成果は、ほとんどないに等しい。他方、日本の消費者行政体制が抜本的に改革され、消費者政策・法制度が強化される機運にあり、海外の主要国の法制度とその運用の状況を知悉し、国際的な潮流も十分に見極めた上で、その強化・充実のあり方を検討していくことは、喫緊の課題となっている。このため、早急にこれまでの研究の成果を公開することが適切であり、また、それと併せて、不公正な消費者取引の規制の枠組みそのもののあり方及び日本の課題もその成果の中で指摘しておく必要があると判断し、本年度においては、補充調査を行うとともに、調査研究の成果のとりまとめを急ぎ、8月に図書の形でその公開を行った。
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