大型否認事件の公判と連日開廷の原則の関係につき、連日開廷の原則の意義を確認した上で、例外的な公判の延期・中断事由の検討を行い、考慮すべき事情を提言した論稿として、「大型否認事件の審理と連日開廷の原則」(単著)季刊刑事弁護59号20~25頁を公表した。 また、事前準備型の弁護活動が行われているアメリカ法における公判準備手段と日本の類似制度との比較法研究の視点から、未だ日本においては研究の蓄積が乏しい、証言録取手続の研究に着手しており、今年度は、連邦法における証言録取手続の概要につき考察を行い、比較法的観点から、第一回公判期日前における証拠保全目的の証人尋問手続の在り方につき一定の示唆を行った論稿として、「米国連邦刑事訴訟における証言録取手続」法政研究76巻4号627~666頁を公表した。 その他、刑法学会、法と心理学会等の学会や、福岡において定期的に開催されている実務家との合同研究会に参加し、裁判員制度の運用に関する意見交換及び情報収集を行うことができた。また、集中審理に対応した刑事公判弁護の研究課題に関連する国内外の文献収集を継続的に行った。
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