平成22年度は、「刑事政策と社会福祉政策との架橋」を念頭に置き、更生保護施設に加え、前年度から全国に開所され始めた「地域生活定着支援センター(以下、地域センターと呼ぶ)」に対する実態調査研究を実施した。そこで、2010年6月4日には宮城県(仙台市)の地域センター・更生保護施設・保護観察所において、8月6日には岐阜県(岐阜市)の地域センター・更生保護施設・保護観察所において、また8月26日には北海道(札幌市)の地域センターにおいて、聞き取り調査を行った。こうした実態調査では、政策評価のための基礎となる客観的事実を可能な限り獲得することに努めると同時に、現場の生の声を極力聞き取ることにも努めた。 また、これまでの研究の中間報告として、2010年9月9日に国士舘大学比較法制研究会において、法務省保護局および宮城県・栃木県・静岡県・岐阜県・長崎県の地域センターの担当者を招聘しての講演会「更生保護と福祉の現状」を開催したほか、10月2日の日本犯罪社会学会第37回大会(会場:国士舘大学)においても、テーマセッションF「高齢・障害のある刑務所出所者等に対する社会復帰支援の課題と展望」を開催し、調査結果を発表した。これらをふまえ、3か年間の研究成果を報告書として取りまとめ、発刊した。 なお、平成21年度以来実施してきた聞き取り調査を基にして、更生保護法人更新会が年2回発行する「更新会だより」に以下の評論を発表した。 (1)小西暁和「更生保護施設参観記(その3)更生保護施設の新たな展開」(「更新会だより」平成22年7月号〈第54号〉)。 (2)辰野文理「更生保護施設参観記(その4)更生保護と社会福祉との関係」(「更新会だより」平成23年1月号〈第55号〉)。
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