環境犯罪は地球ならびに私たちの生存にはなはだしく有害な影響を及ぼしてきた。とりわけ、その有害な影響は先進国と開発途上国の間で不平等かつ不公正に配分されてきた。二酸化炭素の排出による地球温暖化を克服するために推進された代替エネルギー政策の展開に見られるように、富裕な先進国に住む人々に利益をもたらす方策が、貧困な開発途上国に住む人々に不利益をもたらした。このような問題に対処するためには、生産と消費の無限の拡大を標榜する近代資本主義の原理を改め、社会正義に基づく新たな社会ならびに生活様式を創出しなければならない。 また、過去数十年にわたって、富裕国は貧困国を汚染と廃棄物の掃きだめとして使用してきた。企業と産業は環境規制の緩やかな場所を積極的に求めるがために、先進国における厳格な環境基準の実施による環境の質の向上は、開発途上国における汚染産業の発展と有害廃棄物の投棄をもたらした。環境的正義は、環境的な害悪と利益の配分、およびその配分を検討し決定する手続きへのアクセスにかかわる。正義は、あらゆる人々の公正で道徳的で平等な扱いにかかわる概念と定義される。配分的ならびに手続的正義が環境的正義では重要である。 地球環境破壊をもたらす環境犯罪に立ち向かうための「環境的正義」は、以下の3つの主たる領域によって構成される。すなわち、将来の世代に向けての正義(世代間正義)、生態学的正義(人間以外の存在に関連する正義)、人類の空間の内部における配分の社会的局面(世代内正義)である。カオス・複雑系グリーン犯罪学は、「複雑系グリーン正義」という多様な概念と運動により、環境危機のグローバルな臨界状態を克服することを提唱する。
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