平成20年度は、次の3つの作業を平行して進めた。 第一は、ドイツにおける権利観の展開に関する調査・検討である。まず、ドイツの古典的権利論およびその後の発展に関する議論状況の調査・検討をおこない、とくに支配権的権利観の意義と特質ならびに限界を見極めるため、古典的権利論の形成過程の調査・検討に力点をおいて進めた。 第二は、基本権保護義務論にもとづく憲法と私法の関係に関する理論の構築と人格権に関するその具体化についての調査・検討である。人格権総論を展開する基礎とするために、基本権保護義務論にもとづく憲法と私法の関係に関する研究代表者のこれまでの研究をまとめ、第一の成果とあわせて、11.所掲の3つの論文を公表した。この作業と並行して、人格権についてその具体化を図るドイツの文献を調査・検討した。 第三は、社会的人格権に関する憲法および民法における動向の調査・検討である。人格権法各論に属する類型のうち、社会的人格権に関する判例・学説の動向に関する調査・検討を開始した。具体的には、名誉・プライバシー、氏名権、肖像権等に関する判例・文献を収集し、調査・検討をおこなった。この成果の一部は、11.所掲の論文(とくに第1論文)にふくめられている。
|