今年度も昨年度同様に主に、専門家賠償責任保険に関するわが国の裁判例について検証を行うこととした。弁護士賠償責任保険に関する裁判例、税理士賠償責任保険に関する裁判例や実務上の問題点について訪問調査による実務実態を踏まえて検討を行い、税理士職業賠償責任保険において、約款改定前に生じた税制選択上の過失について、更新契約に係る税理士特約条項5条2項が適用され保険者の免責が認められた名古屋高判平成20年10月31日金判1311号頁の判例研究を損害保険研究に掲載した。弁護士賠償責任保険に関しては、被保険者である弁護士が自ら訴訟代理人となった場合についての問題についての初めての裁判例である東京高判平成19年2月28日金判1322号45頁について速報判例解説に判例解説を掲載した。「最近の専門家賠償責任保険に関する裁判例の動向」と題する論文を『ほうむ』56号(2010年3月刊行予定)に掲載し、近時の建築家賠償責任保険、弁護士賠償責任保険、税理士賠償責任保険に関する裁判例について簡単な検討等を加えた。その他、弁護士賠償責任保険の裁判事例集の編集に協力した。また日本保険学会関西部会報告において弁護士賠償責任保険に関する法的問題について報告し、その成果を保険学雑誌に掲載した。他に、早稲田大学保険判例研究会で判例研究報告し、その成果は、法律のひろば2010年4月号に原稿を掲載予定である。岡山民事法研究会で建築家賠償責任保険に関する裁判例に関して研究報告し、その成果の一部を前述の雑誌『ほうむ』に反映している。
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