研究概要 |
本研究は、監査役監査と内部統制システムとの関係に在り方を模索しつつ、監査役制度の有用性を実証的に論証しようとするものであり、今後の数年間ほどがその制度的存立を問われる時間であろうと予測している。そのため、研究の期間も平成20年度から3年間の継続研究としていることから、まずその第1段階として、本年度は,監査役制度に関する従前の研究を基礎として、新会社法の下における監査役制度の意義と役割に関する基本的な理解をふまえ、監査役監査と社内に構築される内部統制システムとの関係について、一方において、歴史的ないし比較法的研究を試みるとともに、他の学問領域(会計学・監査論・経営学等)にふみこんだ検討を進めている。また同時に、他方において、監査役および内部統制システムに関わる社会的実態の調査をふまえて実証的検討を試みている。そのため、当初から、内外の最新研究の収集と分析に当たったが、同時並行的に、可能な限り、論説・解説等を著述するほか、さらには講演・研修等を通じて、会社法務関係者に対し監査役制度の有用性に関する認識を新たにするための啓蒙活動も行った。とりわけ,社団法人日本監査役協会や社団法人九州生産性本部等の講演会・研修会(全国5か所(東京,大阪,名古屋,富山,福岡),7回)を通じて,数多くの監査役および監査部門スタッフと直接に面談し,現実の監査実務の問題点を聞き取り調査するとともに,併せて,彼らに対し監査役制度の有用性を説くという活動は意義があったものと思う。
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