本年度は、日本における面会交流の実情および面会交流実施に伴う福祉的支援の必要性の切実さを聞取り調査した。離婚した夫婦が高葛藤であればあるほど非監護親と子との面会交流は難しくなる。そのような事例では、例えば東京のFPICのように面会交流を支援する民間団体も存在する。しかし、FPICのように実績がある団体であればともかく、面会交流支援能力や実績がよくわからないような団体・個人も存在する。また、FPICであれば1時間5千円といった料金設定がされているが、この金額は当事者にとって高額と感じられる=支払えないことが多い。そうすると、一定の水準をもった面会交流支援を受けられない、その結果親子関係が疎遠になる事例が相当数存在することが推測される。これらのことから、面会交流支援団体の水準を確保するために一定の許可基準の法定(許可制にするのか届出制にするのかという問題および監督官庁はどこにするのか)と、離婚当事者の経済的負担を軽減するための財政上の支援を保証する福祉法的規整を置くことが必要である。 また、親子関係の調整や統合・維持について参考に資するために、熊本大学医学部・熊本学園大学社会福祉学部・熊本県中央児相担当者への聞取り調査も実施した。 親自身が相談できる、あるいは子が親の離婚に関してもしくは親の離婚に巻き込まれることに関して相談する機関が存在しないので、相談機関の設置も考えなくてはならない。
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